【新築時における収納計画の重要性と成功への道】
住宅の生活の快適さと使いやすさは、生活に合わせた収納にかかっています。従って、何をどこに収納するかなど、収納計画を策定することは極めて重要です。
では、収納計画は具体的にどのようなステップで進め、どのポイントに注意を払いながら進めるべきでしょうか。
今回の記事では、新築時における収納計画の立て方に焦点を当て、ポイントを解説します。場所ごとの効果的な収納の事例や、避けるべき失敗の例を挙げ、押さえておくべき収納の要点についても紹介します。
新築において収納計画は非常に重要です。収納計画とは、快適な生活を実現するために最適な収納を考えることです。
何をどこにどのように収納するのか、そのためにはどこにどのような収納スペースが必要かなどを計画的に考えます。収納が不足していたり、使い勝手が悪いと、生活が非常に不便になります。
住まいの暮らしやすさや快適さは、収納の質に左右されると言っても過言ではありません。新築を検討しているのであれば、家づくりの初めから収納計画を検討することが重要です。
家が完成してからでは、収納を大幅に増やしたり変更したりすることは難しいです。家づくりや間取りの情報収集の段階で、収納についても情報収集や計画を行うことが良いでしょう。
早い段階で収納計画を考慮していれば、モデルハウス見学の際などにも、自然と収納のアイデアに注意が向くようになります。
■ 新築時の収納計画策定手順
新築において収納計画を立てる際は、以下の順番で考えてみましょう。
【1】 所持品の整理と量の把握
収納スペースの適切な割り出しを行うために、まず現在所有している物の量を正確に把握しましょう。
この段階では、不必要な物は整理して処分しましょう。過去1年以上使用していない物は今後も使用の可能性が低いため、積極的に処分を検討してもよいでしょう。
残すべき物は、「頻繁に使用する物」と「たまにしか使用しない物」に分類し、リストにまとめましょう。
【2】 将来的に必要になる(増える)物のリストアップ
生活が進むにつれて必要な物が増えていくのは当然のことです。この点を考慮し、「現在所有している物」に加え、将来的に増えるであろう物を収納するスペースを確保する必要があります。
具体的には、引っ越し時に購入予定の家電、子供の成長に伴って必要となるアイテムや洋服、各種消耗品などをリストアップしてみましょう。
【3】 収納場所と配置の計画
所有物の全体像が明確になったら、何をどこに収納するかを決定し、必要な収納スペースを間取りに割り振っていきます。
使う物は使う場所の近くに配置し、出し入れや動線を考慮するとともに、大きな家電などはサイズを計り、適切に配置することが重要なポイントとなります。
■ 新築時の収納計画を立てる前に! 失敗を教訓に成功に導くポイントを確認しよう!
新築における収納でよくある失敗例と、それを踏まえた収納計画の重要ポイントを検討し
ていきましょう。
収納スペースが足りなかったり、逆に多すぎたりすることは、荷物の量を正確に把握していないことから生じる典型的な失敗です。
収納不足では、荷物が生活スペースに乱雑に広がり、生活の快適さを損なう可能性があります。計画を立てる際には、現在の荷物のスペースだけでなく、将来的に必要とされるスペースも考慮しましょう。
可動式の棚などを使用すると、荷物の量や種類が変わっても柔軟に対応できます。ただし、収納スペースを無理に広くとることも避け、生活スペースを圧迫しないように留意が必要です。
いつも物を見失ってしまうことは、使う場所と収納場所の距離が遠いことから生じる問題です。使う頻度の高い物は、できるだけ近くに収納し、取り出しやすい環境を整えることが重要です。
収納棚の奥行きが深すぎると、出し入れが困難になります。特に頻繁に使用するものが手に取りにくいと、物を戻すことも煩わしく感じられます。出し入れやすさや使用シーンを考慮し、棚の寸法や扉の有無などを検討しましょう。
コンセントの設置がないことに後から気づくこともあります。収納スペースに充電式の掃除機や電子機器を収める場合など、予めコンセントを備えておくことが重要です。
■新築の収納間取りアイデア集
[シューズインクローク]
シューズインクロークは、最近新築で増えている収納アイデアの一つです。間取りを工夫すれば2方向からの出入りが可能になり、1畳以下のコンパクトな収納スペースをウォークスルーにすることで、使い勝手とおしゃれな雰囲気を両立させることもできます。
[パントリー]
キッチン横のパントリースペースは、キッチンと分離された収納スペースであり、大きなお鍋やお米などの常温食材、ゴミ箱などを効率的に収納できるアイデアです。小さなパントリーでも使い勝手が向上し、お料理好きの方にはもちろんおすすめですが、パントリーとキッチンとの間を扉やロールスクリーンなどで隠せるように配慮すれば、片付けが苦手な方にもおすすめです。また間取りによっては冷蔵庫をパントリー内に置くことで、リビングダイニングから見えないようにすることも可能です。
[ウォークインクローゼット]
大きなウォークインクローゼットは、お洋服好きの方や物が多めの方に向けたアイデアです。お洋服が好きな方は内部の仕上げやディスプレイにこだわり、アパレルショップのような雰囲気を楽しむことができます。ファミリークローゼットとして家族全員の衣類をまとめると、家事の手間も軽減されます。物が多めの方はお洋服だけでなく季節外の冷暖房器具やお布団などを収納できたり、大容量の収納として使うこともできます。使い勝手をさらに向上させるためには生活動線・家事動線を考慮し間取りの中でどこにレイアウトするかも検討することをおススメします。
[リビング小上がりの床下収納]
リビング小上がりの床下収納は、小物がたっぷり収納できる引き出し収納を活用したアイデアです。お子さんのおもちゃや充電器など、リビングの小物をスッキリ収納でき、デッドスペースを有効利用しています。
[ダイニングベンチなどの家具を利用した収納]
ダイニングベンチの座面下の収納も、小上がりに似たアイデアで、ダイニングテーブルとベンチのデッドスペースを有効に利用しています。LDKの小物を整理整頓できるおしゃれな収納アイデアです。
[洗面室のオープン棚]
湿気が発生しやすい洗面室では、オープン棚とバスケットを活用してボックス収納とすることで、見つけやすく、ボックスやバスケットで気軽に模様替えできるのが特長です。
[廊下壁面収納]
廊下の壁を大きな収納にして、移動しながらアイテムを出し入れできる効率的なウォークスルー収納アイデアです。通路と収納の二役を果たし、無駄がなく空間を有効に活用しています。
[トイレの壁厚収納]
木造住宅の壁厚を利用したトイレの壁厚収納は、圧迫感のないスペースを効率的に作り出すアイデアです。奥行きがそれなりに確保できれば、トイレットペーパーやお掃除用品などを十分に収納できます。壁厚収納は筋交い等の構造材と干渉する場合もありますので後からではなく事前に検討が必要です。
[階段の蹴込収納]
階段下収納のユニークなアイデアとして、蹴込部分を引き出しにしたアイデアが挙げられます。細かいアイテムの整理整頓に適しており、お子さんのおもちゃ入れとしてもおすすめです。
■ 新築収納の一般的な失敗と後悔事例
~収納の過不足~
前述したように、収納が不足することは一般的な失敗ですが、逆に収納が過剰だと生活スペースが圧迫されてしまいます。他人の住まい方を参考にするのは良いアイデアですが、そのまま真似するのは慎重に検討すべきです。手間はかかりますが、家族に合わせた収納計画を立てることが大切です。
~モノの位置がわからない~
日常的に物を出し入れする中で整理整頓が行き届かず、必要なものが見つからないというのもよくある悩みです。これには、使用場所と収納が離れていることが原因と考えられます。使う場所の近くに収納があれば、物を取り出しやすく、使い終わったら戻す習慣が身につきます。
~奥のモノが取り出せない~
奥行きが深すぎる収納スペースを作ると、奥の方に物が積み重なり、取り出しにくくなることがあります。例えば、昔ながらの奥行きのある押し入れでは、奥の物は手が届きません。収納を床面積で考え、実際に使用するシーンをシミュレーションして適切な棚の深さや高さを決定しましょう。
~ライフスタイルの変化~
クローゼットや棚の内部を細かく仕切り過ぎると、将来的に持ち物が変わった際に使いにくくなることがあります。収納量や形は慎重に計算し、内部の造りこみは適度にしておくと、将来も使い勝手が良くなります。大きな棚板やパイプだけを作り、細かい仕切りは市販のボックスなどを利用するのも一つの手段です。
~コンセントの不足~
収納にコンセントが欲しいという声は案外多いものです。例えば、最近増えてきた充電式コードレス掃除機は、収納内にコンセントがあればコードを見せずに充電できます。ウォークインクローゼットやシューズクロークなど、大型の収納内にはコンセントを事前に設置しておくと便利です。
■まとめ
家づくりにおいての収納計画について詳しくご紹介しました。
収納も家事動線と同様に日々の生活にとても重要な役割を果たします。
とは言え、家づくりは「住まい手」さんに合わせて様々なことを検討・考慮し、バランス良く進めていかなければなりません。
収納計画だけでなく、その他の要望と合わせて優先順位をつけながら、担当の建築士・設計士さんと打ち合わせを重ねることをおススメします。
■福岡・博多で収納計画を考慮した間取りの注文住宅を建てるならAndM建築工房へ
家づくりのコンセプトは、ご家族構成や土地の条件、ご趣味など、様々な要素とご要望によって形成されます。お客様の願いを実現するためには、設計力と実現する建築力が必要です。 AndM建築工房では、ビルトインガレージや中庭、スキップフロアなど、それぞれに最適な条件で、お客様のご要望に合ったプランをご提案させていただきます。
この記事の編集者
AndM建築工房 一級建築士事務所
代表/一級建築士 溝上 拓己
1977年 長崎県生まれ/福岡市在住
2000年 大学卒業後、建設会社、建築設計事務所、不動産会社勤務を経て、2018年AndM建築工房として活動開始。
建築設計・現場管理を経験し、構造・用途ではRC造共同住宅から木造戸建て住宅まで携わる。その経験と実績を基に不動産会社にて建築企画から販売サポート(接客)まで幅広く業務をこなし、新規部署(建築企画部)立ち上げにも携わる。クライアントやエンドユーザーとの対話から要望を形にしていく姿勢には定評があり、福岡を中心に住宅の建築設計を多数手がける。
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