地震に強い家の特徴とは?構造や形状の視点から詳しく解説
- Mizokami AndM
- 8月22日
- 読了時間: 7分
【地震に強い家の特徴とは?構造や形状の視点から詳しく解説いたします。】
日本は地震が頻発する国であり、住宅設計において地震への備えは欠かせません。しかし、具体的にどのような住宅が地震に強いのかを知っている人は少ないかもしれません。
この記事では、地震に耐えうる家の6つの特徴と、建築時に注意すべき5つのポイントを解説しています。
木造か鉄骨造か、間取りはどうすべきかなど、家づくりにおける疑問にも答えていますので、これから家を建てる際の参考にしてみてください。
■地震に強い家の6つの特徴
地震に強い家には、以下の6つの要素が挙げられます。
①正方形または長方形の形状
②平屋
③強固な地盤
④耐震・制振・免震構造
⑤軽量な屋根
⑥定期的なメンテナンス
●特徴①:正方形または長方形
地震に強い住宅は、上から見た際に正方形や長方形の形状をしています。
地震が発生すると、家全体が一体となって揺れに対抗しやすくなります。一方で、L字型の家や飛び出した部分がある家は、特定の箇所に揺れの力が集中しやすく、結果的に倒壊のリスクが高まることがあります。
揺れのエネルギーを分散させるためには、建物全体が一体となるシンプルな形状が有効です。
●特徴②:平屋
地震に強い家といえば、平屋が挙げられます。高さが低いため、地震時の揺れが少なくなり、同規模の地震が発生しても被害を軽減できます。平屋はまた、正方形や長方形のシンプルな間取りが多く、耐震性も高くなりやすいです。
●特徴③:強固な地盤
地震に強い家を建てるには、まず地盤の強さが重要です。地盤調査は義務化されているものの、土地の選定段階でしっかりと調査を行い、軟弱地盤の場合は補強工事が必要となることもあります。
●特徴④:耐震・制振・免震構造
地震に強い家は、耐震・制振・免震のいずれかの構造が採用されています。耐震構造は揺れに耐える強度を、制振構造は揺れを吸収する仕組みを、免震構造は建物に揺れ自体を伝えにくくする効果を持っています。最新の技術を用いた住宅ほど耐震性は向上します。
●特徴⑤:軽量な屋根
屋根が軽ければ軽いほど、建物全体が地震の揺れに対抗しやすくなります。従来の重い瓦屋根に代わって、ガルバリウム鋼板などの軽量素材を使用することで、揺れを軽減できます。
●特徴⑥:定期的なメンテナンス
定期的にメンテナンスが行われている家は、耐震性が長期間維持されやすくなります。築年数が経っても、適切な修繕を行うことで、耐震性能を保つことができます。
■地震に強い家が必要な理由
地震に強い家が求められる背景には、以下の2つの要因があります。
①巨大地震による被害
②建築基準法の耐震基準
○理由①:巨大地震のリスク
日本は地震大国であり、いつどこで大規模な地震が発生するかわかりません。家族や自分の命を守るためにも、地震に強い家を建てることは非常に重要です。
○理由②:建築基準法(耐震基準)への適合
現在の耐震基準は、震度6強から7程度の揺れに耐えることが求められており、この基準を満たす家であることが前提です。過去の震災では、現在の基準に基づいて建てられた家のほとんどが全壊を免れました。
■地震に強い家を建てる際の注意点
地震に強い家を建てる際には、以下の点に注意が必要です。
①ビルトインガレージ
②大きな吹き抜け
③増改築によるリスク
④柔らかい地盤
⑤窓の大きさと数、そして窓の位置
これらの要素を慎重に検討することで、地震に対してより強い家を実現することが可能です。
●ポイント①:ビルトインガレージ
ビルトインガレージとは、1階に駐車スペースを設け、その上に2階部分が突き出している設計です。
都市部の限られた敷地を有効活用できることから人気がありますが、耐震性には注意が必要です。
理由として、1階部分が道路に面して壁が少ないため、大きな揺れが発生した際に建造物全体の強度が保てなくなる可能性があるからです。
ビルトインガレージを選ぶ際には、標準的な住宅以上の強度を確保できる構造にするか、重量鉄骨工法など耐震性の高い設計を検討するのが望ましいです
●ポイント②:大きな吹き抜け
玄関やリビングに吹き抜けを設けた場合、地震が発生すると、構造体である柱や壁が不足することから、耐震性が不足することがあります。
木造住宅では特に注意が必要で、必要な場合は耐力壁などを導入して地震対策を強化する必要があります。
また、吹き抜けを設けると光熱費の上昇や、2階部分のスペースが少なくなるなどの課題もあるため、採用する際は複数の要素を考慮しましょう。
●ポイント③:増改築によるリスク
家を後から増改築する際、L字型やコの字型の設計になると、地震時に破損が生じやすいです。特に、もともと平屋だった家を2階建てに変更する場合、建物の揺れに対する耐久力が弱まる可能性があります。
既存部分と新しく追加された部分で耐震性が異なると、地震時に建物全体のバランスが崩れることがあるため、増改築を行う際は、柱や壁の補強など、耐震性の強化をしっかり行う必要があります。
●ポイント④:柔らかい地盤の影響
どれだけ耐震性に優れた家であっても、地盤が弱い場所に建てると倒壊のリスクが高まります。
土地を選ぶ際には、地盤の強さをしっかり確認し、必要に応じて地盤強化工事を検討することが重要です。地盤改良にはさまざまな方法があり、その費用も幅広いので、予算に合わせた土地選びが求められます。
●ポイント⑤:窓の大きさと数、そして窓の位置
窓が多く大きな家は見た目が良い反面、耐震性に不安が残る場合があります。
窓の面積が増えると壁が少なくなり、窓の取り付ける位置を間取りの角とかに配置すると、地震による揺れに対する強度が低下するためです。デザイン性を追求する場合でも、耐震性とのバランスを重視して設計することが大切です。
■まとめ
建売住宅を購入する際、または注文住宅を依頼する際に、どこまでの地震対策が施されているか、また対応が可能かを確認した方が良いと思います。ある程度理解した上で、住宅の予算を鑑み、ご自身に合う家づくりを進めていけるようにしましょう。
建築士の立場から申し上げると、建物の計画当初から、地震に強い家として予算を確保し、耐震等級3の家づくりをしたいと担当の工務店・建築会社さん、建築士さんへお伝えした方が良いです。後からだと建物プランが大きく変わったり、予算オーバーになる可能性がありますのでご注意ください。
■福岡・博多で地震に強い家の注文住宅を建てるならAndM建築工房へ
家づくりのコンセプトは、ご家族構成や土地の条件、ご趣味など、様々な要素とご要望によって形成されます。お客様の願いを実現するためには、設計力と実現する建築力が必要です。 AndM建築工房では、ビルトインガレージや中庭、スキップフロアなど、それぞれに最適な条件で、お客様のご要望に合ったプランをご提案させていただきます。

この記事の編集者
AndM建築工房 一級建築士事務所
代表/一級建築士 溝上 拓己
1977年 長崎県生まれ/福岡市在住
2000年 大学卒業後、建設会社、建築設計事務所、不動産会社勤務を経て、2018年AndM建築工房として活動開始。
建築設計・現場管理を経験し、構造・用途ではRC造共同住宅から木造戸建て住宅まで携わる。その経験と実績を基に不動産会社にて建築企画から販売サポート(接客)まで幅広く業務をこなし、新規部署(建築企画部)立ち上げにも携わる。クライアントやエンドユーザーとの対話から要望を形にしていく姿勢には定評があり、福岡を中心に住宅の建築設計を多数手がける。
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